教育格差のない世の中へ
- ヒロユキ先生
- 2024年7月18日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年7月19日
私は、子どもの将来が親の経済力で決まってしまうようなことがあってはならないと考えています。
中学受験をするのなら、小学3年生の2月から進学塾に通い、そこから3年間かけて準備をするのが一般的です。受験対策を塾に頼らなくてはいけないのは、中学受験の入試内容が、小学校の授業で習う内容よりもはるかにむずかしく、高度な抽象理解が必要になるからです。近年の中学受験の入試問題を見ると、「なかなか面白い問題を出すなぁ」「こんな良質な問題も出すんだなぁ」と感心させられるものもたくさんあります。誤解しないでいただきたいのが、私は中学受験自体を否定しているわけではないのです。ただ、それに挑戦するのは、塾に通うことが必須であること、またその塾代が高額であることに、不平等さを感じてしまうのです。
ダイヤモンド教育ラボ編集部の調査によると、首都圏で私立中高一貫校を中学受験する場合、塾代、受験代を含め、3年間で平均250万円もかかるといわれています。これらの大金は、誰もが払えるものではありません。
しかも、これはあくまでも平均です。通っている塾で順調に成績が伸ばせればこの範囲内で収まりますが、そうでない場合は、塾の授業についていけるようにするために系列の個別指導塾に通わせたり、志望校合格のために難関中学合格の実績を持つ中学受験に特化した家庭教師をつけたりと、あれよあれよと膨れ上がっていきます。人気中学受験まんが『二月の勝者』(高瀬志帆/小学館)のなかにも出てくるように、気がつけば「課金」がやめられない状態になってしまうこともあるのです。

また、環境面における格差もあります。いま中学受験が過熱している首都圏では、一流大合格トップ10に入るような最難関校から、偏差値40以下の学校まで、実にさまざまな学校があります。受験ですから、学力レベルは無視できませんが、それでも選択肢は豊富なのは恵まれた環境といえます。
いっぽう、地方はそもそも私立中高一貫校の数が少ない。青森市でいえば、2校しかありません。こうしたことから、地方都市ではいまも公立小学校、中学校から高校受験を経て県内の公立高校に進学するのが一般的です。このように、同じ日本という国に暮らしていながら、子どもの進路の選択肢に差が生まれているのです。そして、多くの地方の子どもたちが、自分の将来をはなからあきらめている節があります。
また、これまで数多くの保護者と面談や話をする機会がありましたが、親御さん自身もあきらめていたり、そもそも子どもの将来について関心をもっていなかったりするケースが多く見られます。これは地方特有なのかもしれませんが、少し田舎の学校に行くと、「先生、うちの子に勉強の楽しさを教えないでください。うちはどうせ家業を継ぐことになるので、ヘンに東京の大学に進学したいなんて言われると困るんですよ」なんて言われることもあります。それぞれの家庭の事情はあるでしょう。でも、子どもの将来を親が閉ざしてしまってはいけません。
もちろん、子どもが将来どうなるかなんて誰にも予想はできないのですが、例えば子どもがあるとき「もっと勉強したい」「この学問を深めたい」と思ったときに、基礎学力がまったくなければ、一流大へ行くことはむずかしくなってしまうでしょう。ただ、子どもが将来、学問に向かいたいと言うかどうか、言い出しそうかどうかというのは、親ならわかるのではないでしょうか。それがわかっていないというのは、「子どもを見ていない」ということで、親としてはかなりまずい状態だと思うのです。
子どもは本来、学ぶことが大好きです。小学校に入学した時点では、どの子もみんな目をキラキラさせて授業を聞いています。それが次第に、勉強嫌いになったり、勉強そのものに関心を持たなくなったりする。その背景に親の関わり、もしくは無関心が大きな影響を与えていることを、私はこれまで幾度となく感じてきました。
首都圏の子どもたちに比べたら、地方は選択肢が圧倒的に少ないのは事実です。だからといって、一流大への進学をあきらめなければいけないのかというと、もちろんそんなことはありません。なぜなら、親の関わり方次第で、どんな子でも一流大を目指すことはできるからです。

私の著書「中学受験しないで難関大に合格する『新しい学力』の育て方」では、その具体的なコツをお伝えしていきます。ですから、「うちにはお金がないから」「地方に暮らしているから」といった理由で、安易にお子さんの可能性を狭めないでいただきたいのです。すべては、親の心もち次第です。
メールからご連絡いただければ、子育て習慣や親子関係の在り方についてアドバイスや実行支援をいたしますので、お気軽にお知らせください。
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