塾や中受よりも、子供の『好き』を探す手伝いを!
- ヒロユキ先生
- 2024年7月16日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年7月19日
自分の人生における『好き』が見つかった子供は強いです。自らの力で、どんどん人生を切り開いていくようになります。塾や中受のサポートよりも、子どもがそうした『好き』に出会えるような体験を準備してあげることの方が、親の仕事としては重要です。
自分の『好き』に出会うことで、生き方が変わっていった教え子、黒石さん(仮名)の実例を紹介します。

黒石さんは女の子同士よりも、男の子と遊ぶほうが好きな子で、ゲームもよくやる女の子でした。ところが、熱中できるものを見つけてから、ゲームをだんだんしなくなっていきました。そのきっかけが、秋に行った「りんごもぎ体験」でした。
黒石さん親子が観光りんご園へ行ったときのことです。親子を案内してくれた担当者がたまたまよくしゃべる人だったらしく、りんごづくりの苦労話をおもしろおかしく語ってくれたそうです。そのなかに「マメコバチを利用したりんごの花の受粉」の話もありました。「広大なうえに、斜面に築いた『りんご園』での受粉作業はたいへんな苦労をしたが、マメコバチを利用した受粉法が開発されて、とても楽になった。虫が『りんご園』を支えてくれている」というお話です。
これを聞いたとき、黒石さんは、「雷に打たれたような衝撃を受けた」と、あとに語ってくれました。蜂が受粉させると、りんごの実ができる。つまり、りんごの花には雄と雌があり、その子どもがりんごの実である。この発見は、後の彼女の人生を左右するものとなりました。いま思えば、男の子と遊ぶことの多かった彼女は、私が担任していた小学生当時から、セクシュアリティに関する悩みを抱えていたのかもしれません。
性別があると思いもしなかった「植物」が、「性差」をもっていた。
「ということは、お母さん。生き物はみんな、雄か雌なんだね?」
この彼女の発言に対するお母さんの反応も、すばらしいものでした。
「お母さんもわからないことがあるから、一緒に調べてみようか?」
ここから黒石さん親子は、生物の性や受精に関する本を図書館から借りてきて、読みあさるようになりました。子ども向けのものからスタートし、徐々に学術的なものへと進んでいったようです。
そして、「性別のない生物もいること」「一生の中で性が転換する生物もいること」など、生物の性の多様性を知ることができました。さらに親子で、「人類の性の多様性について」や「女性差別の歴史」などについても語り合ったそうです。
そうするなかで、彼女はだんだんとゲームへの関心を失い、学校での友達関係も変わっていきました。スマホやゲームをしない子たちとつき合うようになったのです。
黒石さんはいま、一橋大学の法学部を卒業し、大学院で人権についての研究をしています。「性に関わる法律」に疑問をもち、性差を超えた新しい人権を創造しようとしているそうです。

メールからご連絡いただければ、子育て習慣や親子関係の在り方についてアドバイスや実行支援をいたしますので、お気軽にお知らせください。
Comments